2023/10/23 詩篇「FNACの一角の騒々しい人だかり」「私はひとりプジョー104を駆けていた」(『幸福の追求』)読解

試訳

FNACの一角の騒々しい人だかりは

ひどく密で、とても残酷だった。

大きな犬が白い鳩の体を噛んでいた。

さらに裏通りを進めば、

年老いた女浮浪者が身を縮めて丸まって

無言で子供たちの唾液【つば】を受けていた。

 

私は一人、レンヌ通りにいた。電光掲示板が

どことなくエロティックな通りに私を導いた。

こんにちは、アマンディーヌです。

僕の股間はピクリともしなかった。

数人のチンピラが威嚇するように睨みつけていたのは

洒落た女と卑猥な雑誌。

枠組のなかの人々は消費に勤しんでいた。それこそが枠組みというものの機能なのだ。

君はそこにいなかった。ヴェロニク、愛してる。


1

私はひとりプジョー104を駆けていた──

205だったならもっとイカして見えただろう。

雨は降り続けていた、そして私は競争が嫌いだ──

財布に残っているのは3フランと55サンチームきり。

 

コルマールへの分岐で私は躊躇った、

高速を降りたのは賢明だっただろうか?

最後の手紙にはこうあった。「本当にむかつくわ

あなたにも、あなたの問題にも。あなたのバカさ加減にはうんざりよ」

 

要するに私たちの関係は冷え切っていたのだ──

人生とはひどく頻繁に、愛し合うもの同士を遠ざける。

私は気落ちすることなく、指を鳴らしながら

「ヴィ・ド・ボエーム」のサビを歌った。

 

ドイツ人は豚だが、道の作り方を知っている

批判的で狭い心の持ち主である祖父が言っていた通りだ。

気分は少し張り詰めていた──まずまちがいなく疲れのせいだ、

私はドイツのアスファルトに喜びとともに踏み入れた

この旅はだんだんと敗走の色味を帯びてきた、

私は今にもヒステリーが爆発しそうな気がした。

 

フランクフルト到着までのガソリンは十分にあった──

そこではまず間違いなく友達ができるだろう

二本のソーセージの間で、私たちは死に立ち向かうだろう、

私たちは男について、そして人生の意味について話すだろう。

 

精肉運搬のトラックを2台追い抜かしてから、

この思いつきに有頂天で、私は讃美歌を歌った──

いや何も終わってなどいなかった、人生とその贈り物は

私の目の前で、不確かで崇高なものとして広がっていた。


「FNACの一角の騒々しい人だかり」
-Amandineはアーモンド菓子の比喩? 語源的には「愛されるべき人」/ヴェロニクの方は語源的には「勝利」
-cadresは「枠にはまった人」? 「管理職」とのダブルミーニングか。
●フナック、レンヌ通りなど、固有名詞+日常性
-ヴェロニクは風俗嬢? それとも「枠」にはまってなかった人?

「私はひとりプジョー104を駆けていた」
-なぜ二部構成?
●incertainesはポジティブ →確かなもの=数字、手紙の言葉/不確かなもの=語られた言葉、夢(ファンタスム)
●incertainesが肯定的というのがMHの特徴 →ここから、初版からの訂正や、初版から削除された詩篇が再考される?

-ちなみにパリ→コルマール→フランクフルトと仮定すると、車で14時間ほど。