試訳
ぼくは涙に値しなくなった子供のようだ、
勇敢な者たちが住む国に連れて行ってくれ
夜へと連れ出してくれ、魅力を授けてくれ、
異なる存在と出会いたいんだ。
ぼくの奥底には古びた希望があって
あの年老いた黒人たち、祖国では王族だが、
いまは淡々と地下鉄を掃除している彼らのようだ——
ぼくと同じく彼らは孤独で、ぼくと同じく彼らは笑う。
本当に、ぼくらがうまく呼吸できないこの世界が
ぼくらに抱かせるのはもはや明白な嫌悪、
一刻も早く逃げ出したいという欲求のみで、
ぼくらは新聞の見出しを読まなくなった。
ぼくらはかつての住まいに戻りたい
ある大天使の庇護のもとで父たちが暮らしていた住まいに、
ぼくらはあの奇妙な道徳をふたたび見出したい
最後の瞬間まで生を尊んでいたあの道徳を。
ぼくらはあれを欲している、誠実さのような、
おだやかに依存しあう絡まりのような、
存在を超えつつ含むようなあれを——
永遠から離れて生きるなんてぼくらにはもうできない。
「裂け目」
爆増した狼たちが我々の壁に侵入した
狼たちは地下鉄で体制【システム】におけるゴミクズらとすれ違う
トムソンだかIBMで働く連中だ
引き裂かれる前に、二つの世界は見つめ合う。
情報の悪夢が
我々の希望を制限する。
技術の夢の子供たちたる、
我々は遠く離れて生きている。
いつの日か、あらゆる機械を破壊せねばならないだろう
その果てに人間の表情を凝視するために、
このために大虐殺から免れるエンジニアの数は多くはないだろう──
一歩ごとに進歩というものは我々を破滅へと近づけるのだ。
テレビで放映される我々の死に際は
面白みに欠け吐き気を催させるものだ。
我々は疲れた役者なのであり──
役を変える時が来たのだ。
「パストゥール大通りの午後」
また目に入るドイツ人観光客の碧眼
大ジョッキ片手に社会談義だ。
思慮深く、やや神経質な相槌【アッハ・ゾー】が、
生き生きとした雰囲気を飛び交う。何席もこの調子だ。
僕の左側では化学者の友達たちのお喋りが
有機合成化学における新発見!だそうだ。
化学は幸福を、詩は悲しみを与えてくれる、
そしてひとつの科学へと至るべきなのだろうか。
それは分子構造、自己の哲学
あるいは今風の建築家たちの例の不条理な運命
社会は腐り、セクトへと分解されていく
ハレルヤを歌おうじゃないか、王様のご帰還を祈って!
・引き続き宗教を感じさせる詩篇。
・宗教=なにかへの盲目的な信頼?
・一方で、現代世界はそれが不可能になっているという前提が敷かれている?
・形式は再びアレクサンドランに戻ってきた
・内省的詩篇が多かったが、「パストゥール」で急に現実に引き戻される感覚
