2024/04/14 「パッサージュ」ほか(『幸福の追求』)読解

試訳

パッサージュ

蠢く大気に包まれた雨雲たちが渦巻き、
世界は瑞々しくも陰気。空疎なものに支配されているがため。
触覚を措いてあらゆる感覚は霧散し……
池面に揺れる菩提樹の影。

おぼつかぬ足取りながらも海で果てん、と
願う我々は熱せられた白い砂漠を渡り
手をかけたる深淵の……
最奥で笑うは猫の顔貌【かおかたち】。

あらゆる赤裸々の意志が拒絶した死。
ビルマ出身の、我々の二人の同胞、
恐ろしい笑いがその輪郭を壊し、
そのまま蠍座の天体間へ滑降。

南回帰線の山々の峻厳たる道すがらに、
二人の硬直した身体が踊りし我らが脳漿──
ファンゴルン地方の絡み合った闇
が突如として飲み込みたるは強迫的な表象。

そして幾人かは火山島にたどり着いた……

煙霧に包まれた傾斜面──
太陽の光線は常に迂回。
すべては土瀝青地瀝青に覆われるが様子の然
しかし、もはや数学法則に従うものは一切なし。

それは個人存在の到達点──
幾人かは雲の門(雲門porte des nuages)を乗り越えた。
過酷な道中ゆえにとうに相貌が変転
した彼らは、落ち着き払い、通過の時には笑みを浮かべた。

あらゆる天体の流れは取るに足らない土塊に光をもたらした
その土塊たちは、暗き錬金術による、欲望の固き塊【かい】
従順な流れのごとく、それは混合し一体となり
行きつくは偉大なる黒き大洋の茫漠たる怪。

繊細で甘い霧が沈黙に結晶するは
世界の最奥──
解け進む限りのない流転、それは
大洋の波浪。


空白の果てに

1

最後には、雪降る朝の
地方の駅に
ベージュ色の小犬の死骸、
とてもわずかな可能性の。

空白の果てに、死がある
あらゆる体が徐々に消えゆく
凍った囚われの朝に、
ぼくは感情的な道のりを終える。

ぼくは人生を終える、ぼくは横たわる、
地面はひとつの口のようで
黒ずんだ土でできたくちびるが
ぼくの人生を引き取ろうと待ち構えている。

2

朝が回帰し、地面から湯気が立つ
つまりぼくは取るに足らないことで死んだ
太陽が靄を引き裂き、
空はほんのりと薔薇色。

獣的な発芽によって
作り直される動物たちがいるだろう
そしてすべてがあらたによみがえるだろう、
善と悪さえも、

その動物たちが沈黙しているうちに——
獣たちの沈黙は荒々しい。

獣たちは捕えあい触れあい、
獣たちは引き裂きあい噛みつきあい
ときどき群れをなす
獣たちには手があり、口がある
血の滲む傷口に向けて開かれている口
爪があり、歯がある
動脈が血で波打つ
血が乱れ、すばやく循環する。

ところで、あらゆる崖が粉々に砕けている。