試訳
変奏曲32番
裸の人間がふたり浜辺の端に寝そべっていて
人生は奇妙な言葉を書き込んだのだった
彼らの肌に。無垢でとても従順な、彼らはそこにおいて
潮の流れに平される精根尽きた生存者。
真っ白なホホジロザメが二匹漂流物のまわりで戯れあい
無垢な太陽が光らせるは死んだような目
嘲笑うような輝きのせい。
そんなことはまったく深刻でない、
しかしなんと恐ろしい眺め……
群れなすカモメの描き出す同心円!
サン=クリストフ=デュ=リニュロン、7月17日
イヴリーヌ県のとある駅
戦火はそこまで至らず
ホームの端で、犬一匹が小便し
車掌は何度も祈っている。
寝台車の鋼板が
やせ細った草ぐさに囲まれ錆びつき
盲目の老人が靴下を売っていた、
彼は窃盗団の一味。
希望はその町を見捨てた
あの爆発の翌日に、
ぼくたちは神経過敏になっていた
(同世代の問題)
太陽が溺れている、緑色の水たまり、
地平線は赤っ鼻
危機的だと言われてもぼくはもう信じていない。
将来の関節はこわばったまま。
物事の意味が消えるとき
午後の盛りに、
穏やかな土曜日に、
関節炎で身動き取れなくなったとき。
枕木たちの消失が
線路の中央で
生ずるは驟雨のすぐ前。
掘り起こされるあらゆる追憶が。
僕は携帯の呼び出し音に思いを馳せる
池の端に忘れたもの。
僕は現実世界を思い出す
大昔に、僕が生きていたところ。
