2024/09/01 「分配-消費Ⅲ」ほか(『闘争の意味』)読解

試訳

分配-消費

Ⅲ.

一匹の路地猫に出くわした、
その眼差しを前に僕は驚き足を止めた──
その猫は埃の中に横たわっており、
その体から虫の大群が這い出してきた。

若いアシカみたいな君の膝、
網タイツに包まれて
一切の音もなく折り曲げられる
夜、あらゆる不在が輝き出す。

年老いたプロレタリアが
息子を探している
GANタワーで行方不明になった息子を、
失望した革命家たちの墓地で。

君の目はテーブルの間をさまよった
戦車の砲塔のように──
君はたぶん魅力的だったのだろう、
しかし僕はまるきりうんざりしていた。


昆虫たちは石のあいだを駆ける、
変態【メタモルフォーズ】に囚われた奴ら
ぼくらもまた囚人だ
そしてこんな晩がある、人生が
物の連なりでしかなくなる晩が
それら物の存在だけが
ぼくらの衰えの枠となり
衰えの境界を、広がりを、意味を固定する——

たとえばこの、きみのはじめての結婚と
別離を経験した食洗機、
たとえばこの、きみの怒号と
きみの放棄を経験したぬいぐるみのくま。

社会に適応した動物とは一定数の関係を持つ存在だ
その関係内で欲望が生まれ、成長し、時々とても強くなり
そして消える。

欲望はときに突然消える、
そんな晩がある
生活を作るような習慣があったのに今はもうまったく何もない
我慢できそうだった空が突然果てなく黒くなる
受け入れられそうだった痛みが突然うずきだす
もう物体しかない、その物体に囲まれて人までもが期待しながら動かなくなる、

物に囲まれたもの
あらゆる物より壊れやすいもの
つまりはとても気の毒なもの
は常に愛を待っている
愛を、あるいは変態【メタモルフォーズ】を。