試訳
FNACの一角の騒々しい人だかりは
ひどく密で、とても残酷だった。
大きな犬が白い鳩の体を噛んでいた。
さらに裏通りを進めば、
年老いた女浮浪者が身を縮めて丸まって
無言で子供たちの唾液【つば】を受けていた。
私は一人、レンヌ通りにいた。電光掲示板が
どことなくエロティックな通りに私を導いた。
こんにちは、アマンディーヌです。
僕の股間はピクリともしなかった。
数人のチンピラが威嚇するように睨みつけていたのは
洒落た女と卑猥な雑誌。
枠組のなかの人々は消費に勤しんでいた。それこそが枠組みというものの機能なのだ。
君はそこにいなかった。ヴェロニク、愛してる。
1
私はひとりプジョー104を駆けていた──
205だったならもっとイカして見えただろう。
雨は降り続けていた、そして私は競争が嫌いだ──
財布に残っているのは3フランと55サンチームきり。
コルマールへの分岐で私は躊躇った、
高速を降りたのは賢明だっただろうか?
最後の手紙にはこうあった。「本当にむかつくわ
あなたにも、あなたの問題にも。あなたのバカさ加減にはうんざりよ」
要するに私たちの関係は冷え切っていたのだ──
人生とはひどく頻繁に、愛し合うもの同士を遠ざける。
私は気落ちすることなく、指を鳴らしながら
「ヴィ・ド・ボエーム」のサビを歌った。
2
ドイツ人は豚だが、道の作り方を知っている
批判的で狭い心の持ち主である祖父が言っていた通りだ。
気分は少し張り詰めていた──まずまちがいなく疲れのせいだ、
私はドイツのアスファルトに喜びとともに踏み入れた
この旅はだんだんと敗走の色味を帯びてきた、
私は今にもヒステリーが爆発しそうな気がした。
フランクフルト到着までのガソリンは十分にあった──
そこではまず間違いなく友達ができるだろう
二本のソーセージの間で、私たちは死に立ち向かうだろう、
私たちは男について、そして人生の意味について話すだろう。
精肉運搬のトラックを2台追い抜かしてから、
この思いつきに有頂天で、私は讃美歌を歌った──
いや何も終わってなどいなかった、人生とその贈り物は
私の目の前で、不確かで崇高なものとして広がっていた。
「FNACの一角の騒々しい人だかり」
-Amandineはアーモンド菓子の比喩? 語源的には「愛されるべき人」/ヴェロニクの方は語源的には「勝利」
-cadresは「枠にはまった人」? 「管理職」とのダブルミーニングか。
●フナック、レンヌ通りなど、固有名詞+日常性
-ヴェロニクは風俗嬢? それとも「枠」にはまってなかった人?
「私はひとりプジョー104を駆けていた」
-なぜ二部構成?
●incertainesはポジティブ →確かなもの=数字、手紙の言葉/不確かなもの=語られた言葉、夢(ファンタスム)
●incertainesが肯定的というのがMHの特徴 →ここから、初版からの訂正や、初版から削除された詩篇が再考される?

-ちなみにパリ→コルマール→フランクフルトと仮定すると、車で14時間ほど。
