2024/04/02 『幸福の追求』第三部について/「変奏曲49番」ほか(『幸福の追求』)読解

・『幸福の追求』精読が第三部まで進みました。ここで『幸福の追求』第三部の、初版と97年以降版との比較を行い議論しました。
・『幸福の追求』初版(91年)から97年版への変更点は3詩篇の削除と5詩篇の追加とまとめられます。議論の焦点としては
 1)初版:夜という詩句の頻出
 2)初版:陰鬱な調子→97年版:滑稽・救済の調子へと傾いている印象
 3)詩篇間の連続性(王の帰還→恐竜→時の破壊→未来へのほのかな希望)
 4)初版からの改編における『闘争の意味』(97年刊)や『闘争領域の拡大』(94年刊行)からの影響
がなされました。


試訳

「変奏曲第49番:最後の旅」

鋼製の三角形が風景を切断していき——
飛行機は雲より高くにて停止。
高度8000。乗客たちが降りる。
眼下にアンデス山脈を見る

そして嵐の臍が薄い大気のなかで
肥大し捻れ——
谷間から上っていくさまが漠然とした予兆のようで、
まるで死前喘鳴。

我々が視線を交え、むなしくも探る
空間のぶ厚さ
その致命的な白さが我々の手を包む
まるで暈。

サンティアゴ、チリ。12月11日


国道27号線1は閑散としていて誰もいなかった、
君は今日の午後遅くに一人で到着するだろう。

一人で到着して、君にいったい何ができる?
やつれて細紐のような子供らの身躯、
は素晴らしく溌剌な山となり積層する
君の別荘のリビング。

肺組織の観察を疎かに、
友よ、君の白い棒が指揮するは戦争のお達し。

そして蛇行しながらゆっくり進む生まれつつある夜
君は丘をたった一人で登るだろう。
魂を究極の理にまで昇らせる
君は犠牲者を選んだ神に感謝を捧ぐだろう。

それから君は歌いたがる、その声は暗く甘く、
ひっそりと、夜に、まるで誰にも知られてない者のごとく──
すると最後の生き残りの者のアルゼンチン語が
聞こえてくる 聞き分けやすくも弱々しく抑揚のない言葉が


  1. アルゼンチンの国道?→直前詩篇「変奏曲49番」との地理的連関? ↩︎