2025/07/12 「(おいらはペンのキャップを閉める)」他(『ルネサンス』)読解

試訳

おいらはペンのキャップを閉める。
自分の言葉に満足しているか?
おいらのペンは立派でなく、
白紙に戻したいんだ。

おいらは「芸術家」という立場にいる自分に視線を投げる
そうして見えたものをほとんど不潔に思う。
おいらはいかに芸術家であろうとも、それでもとても悲しい、
おいらを威嚇する馬鹿たちに囲まれて。
おい、ペン、馬鹿野郎!

おいらのペン、
精彩の欠けた半真理を射〔だ〕している
ペンに責任があるんだ、いまや
「私は人々の生きている世界を探しているんです」。


書くこと、
人々と取り持つ便り、
彼らはあまりにも遠くにいて。
それは愉しむこと
(たいていは、自らの手によって)。
わずかな愛、林檎の香り、
それは旅立つこと
(とても遠く、あまりにも遠くへ。遠すぎるほどに)。

空間は存在する そこは分割不可能かつ豊穣であり、
そこで私たちは相異なるままひとかたまりに生きる、
すべては静謐で、不動の、深淵としてそこにあり、
幼年期の先にも 空間は存在する。


雲、夜

私の湿った目の奥から下りてくる、
イメージが絶え間なく滑り続けていた
それから開きは狭く、
閉まりは分厚かった。

私は見なければならなかったのだろう
別の仕方で自分の将来を、
ニ年前から酒を飲み続ける
私はとてもつまらない恋人。

こうして、夜を過ごさなければならない
ゆったりと迫る死を待つ、
独りで進み、音も立てずに静かに。
()私たちの目を再び見つけ、それらを感じる、

死があなたたちの目を押さえつける
まるでまな板の上の死体のよう、
神々を探す時間になる
散らばった。肉体が滲み出す。


ぼくたちは対角線の関係を打ち立てた
頭上にはおぼろげに不確かに存在するカバノキ
それは鉤爪のようだ、不純で垂直な沈黙が
ぼくたちを包み込んでいた、まるで水
清めるための。

欲望が炎のようにぼくらの生を取り囲んでいて、
ぼくたちはその芯になることを受け入れた
女ひとりに何ができるのかをぼくは分かっていなくて、
きみの唇から離れて、ぼくの唇はすぐに乾いて
そして死んでしまっていた。

ソファでひとり過ごす夜はやりきれなくて、
夜というのは訪れるたびに暗くなってゆくようにぼくには思える——
ぼくはマッチを擦る——炎が溢れ出し、揺れている、
過去の姿形が影の合間を行き違う、
移り変わる。

ぼくはまたカバノキを見る、
この夜
ぼくは水をすこし自分にかける、
ぼくは黒に紛れて独りきり。